平成30年度税制改正大綱が、昨年12月14日に公表、22日に閣議決定されました。

1.       法人課税

所得拡大促進税制の見直し・拡充

雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度を改組し、青色申告書を提出する法人が、平成30年4月1日から平成33年3年31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、①平均給与等支給額が対前年度比3%以上増加、②国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上等の要件を満たす場合には、給与等支給増加額の15%の税額控除ができる制度となりました。さらに、教育訓練費の増加要件を満たす場合には、控除率がさらに5%上乗せされ、20%の税額控除が認められます。

所得拡大促進税制の見直し・拡充(中小企業)

中小企業については、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が1.5%以上であるときは、給与等支給増加額の15%の税額控除ができます。さらに、教育訓練費の増加要件で10%上乗せされ、最大25%まで税額控除が認められます。

2.       資産課税

事業承継税制の特例の創設

10年間の特例として、猶予対象の株式の制限(総株式数の3分の2)の撤廃、納税猶予割合の引上げ(80%から100%)、雇用確保要件の弾力化を行うとともに、複数(最大3名)の後継者に対する贈与・相続に対象を拡大する等の措置が講じられました。

中小企業の設備投資を促進するための税制上の措置

革新的事業活動による生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)の制定を前提に、市町村が作成した計画に基づき平成33年3月31日までに行われた中小企業の一定の設備投資について、固定資産税の課税標準を最初の3年間価格にゼロ以上2分の1以下の割合を乗ずるとする特例措置が創設されました。

小規模宅地等の特例の見直し

居住用宅地(持ち家に居住していない者)及び貸付事業用宅地について、適用要件の厳格化等が図られます。

3.       個人所得課税

給与所得控除・基礎控除の見直し

給与所得控除額及び公的年金等控除額を一律10万円引き下げて基礎控除額を一律10万円引き上げるほか、給与所得控除及び公的年金等控除の上限額の見直しが行われます。適用期日は平成32年分以後の所得税、平成33年度分以後の個人住民税からとなります。

青色申告特別控除の控除額の見直し

青色申告者に係る青色申告特別控除額が55万円(現行65万円)に引き下げられます。ただし、電子申告・納税を行うなど一定の要件を満たすものは控除額が65万円のままとなります。適用期日は、平成32年分以後の所得税及び平成33年分以後の個人住民税からとなります。

 

「税理士懇話会(税務研究会)の一口解説より転載」