新入社員β君と顧問税理士α先生の会話

β君:
先生、わが社では今、B製品を100個製造販売しているのですが、
B製品のb部品を1個30円で外注に出しています。このb部品を自社で
製造できないかと社内で検討したところ、材料費などのコスト1個当たり
20円で製造できることがわかりました。

β君:
もし、b部品を外注に出さずに内製したら、B製品1個当たり10円
コストが削減できて総額1,000円(=10円×100個)安くなるので、
外注に出すのをやめて自社で製造したほうがいいですよね?

α先生:
β君、ちょっと待って!そう決めてしまうのは早いよ。
ところで、b部品を内製することで他に何か影響はないの?

β君:
そういえば、C製品を製造している工員さんや機械をb部品の製造に充てるため、
b部品を製造することによってC製品の製造販売量が30個減ります。
ちなみに、C製品の売価は1個当たり90円で、1個当たり変動費が50円、
固定費が総額で1,000円です。

α先生:
それならば、僕はb部品を外注に出した方がいいと思うよ。

β君:
えっ!!何でですか?

α先生:
だってC製品の製造販売量が30個減ったら、(90-50)×30=1,200円
利益が減ってしまうよね?
1,000円コストを削減しても、別の部分で利益が1,200円減ってしまうんだったら
全体では200円の損失になっちゃうよ。
ある案を採用したときに、採用しなかった案を採用していたとしたら
得られたはずの利益のことを機会原価と言うんだよ。
前回学習した埋没原価(vol.180参照)だけではなくて、
このような機会原価の存在にも注意しながら経営判断をしなければいけないよ。

β君:
先生、分かりました。ありがとうございました。
危うく部長に怒られるところでした!

α先生:
どういたしまして。また何か分からない事が出てきたら遠慮なく聞いてね。

 

前回に引き続き、差額原価収益分析の例示です。上記の考え方はあくまで一例ですが、
アルファ税理士法人では単なる記帳代行や申告書の作成にとどまらず、
経営者の良き相談相手としてこうした様々な経営上のご助言をさせていただいております。