平成25年度の税制改正により平成27年から相続税の基礎控除引き下げ、最高税率の
引き上げが行われます。相続税の申告義務者が今後増加すると考えられるため、
相続税の節税対策の1つである「養子縁組」について紹介します。
【1】 養子縁組による影響
養子縁組を行うとその養子となった人はその日から被相続人の法定相続人に該当する
こととなります。法定相続人が増えることで、基礎控除額の増加・累進税率の緩和・
生命保険金等や退職手当金等の非課税限度額の増加をもたらします。その中で最も
効果が大きい具体例を説明します。
【2】 節税効果の具体例(新税率適用後)
被相続人の財産の課税価格2億円 現状、法定相続人は子1人であるが、子の配偶者を養子にした場合の効果 |
<養子にする前>
課税価格2億円-基礎控除3,600万円=1億6,400万円
(基礎控除:3,000万円+600万円×1人(法定相続人の数)=3,600万円)
相続税の総額 1億6,400万円×40%-1,700万円=4,860万円
<養子にした場合>
課税価格2億円-基礎控除4,200万円=1億5,800万円
(基礎控除:3,000万円+600万円×2人(法定相続人の数)=4,200万円)
各人の法定相続分:1億5,800万円×1/2=7,900万円
各人の相続税額:7,900万円×30%-700万円=1,670万円
相続税の総額 1,670万円×2人=3,340万円
財産の課税価格は同じでも、養子縁組をしたことで1,520万円相続税額が減少すること
になります。
【3】 注意点
孫を養子にする場合(代襲相続人である場合を除く)には、その人の相続税額は2割加算
されてしまいます。また、上記具体例の法定相続人の数に含めることのできる養子の人数には
制限があり、被相続人に実子がいる場合には1人、実子がいない場合には2人までとなっています。