相続税では平成27年から基礎控除の4割カットや最高税率アップなど増税となる項目が
注目されていますが、一方で納税者有利となる減税策もあります。
その中で今回は「小規模宅地等の特例」の拡充及び要件緩和について説明します。

【1】特定居住用宅地等の特例の限度面積の拡充 平成27年1月1日の相続、遺贈より適用
相続の開始の直前において被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等のうち、
次のもので限度面積までの部分については、一定の割合が課税価格から減額されます。
改正により特定居住用宅地等の適用対象面積が240㎡から330㎡までに拡充されます。
小規模宅地

【2】事業用宅地と居住用宅地の完全併用が認められる 平成27年1月1日の相続、遺贈より適用
特定事業用と特定居住用宅地の両方がある場合400㎡と240㎡を限度一杯使うことはできず、
両方合わせて400㎡までの適用でした。これが改正により完全併用が認められ、400㎡と330㎡の
合計730㎡まで適用できることとなります。
※貸付事業用宅地等を選択する場合には適用対象面積の調整計算があります。

【3】適用要件の緩和(二世帯住宅の場合) 平成26年1月1日以後の相続、遺贈より適用 
構造上完全に区分されている二世帯住宅は、内部階段等で行き来ができない場合同居して
いないものとみなされ、特定居住用宅地等に該当せず、原則として小規模宅地の特例の適用が
できませんでした。しかし、改正により一棟の建物に被相続人の配偶者又は親族が居住している場合
には小規模宅地の特例の適用ができるようになります。

【4】適用要件の緩和(老人ホーム入所の場合) 平成26年1月1日以後の相続、遺贈より適用
被相続人が老人ホームに入所し、終身利用権を取得した場合、空家となった自宅には
居住していないため、小規模宅地の特例の適用ができませんでした。これが改正により、
介護のための老人ホームへ入所でかつ被相続人の自宅が貸し付けられていなければ、
終身利用権を取得していたとしても小規模宅地の特例の適用ができるようになります。

宅地の利用方法によって特例の適用の有無や減額割合も変わってきますので、小規模宅地の特例を
上手に使うために改正点も含めて理解していただくことが大切です。
アルファ税理士法人の「相続・贈与相談センター」では不動産を利用した相続税対策についても
取り組んでおります。些細なことでもお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。