平成30年度改正において、一定のサイバーセキュリティ対策が講じられたデータ連携・利活用により、生産性を向上させる取組について、それに必要となるシステムやセンサー・ロボット等の導入を支援するIоT税制(コネクテッド・インダストリー税制)が創設されました。

1.制度の内容

対象事業者

青色申告事業者(業種・資本規模による制限はありません。)

課税の特例の内容

認定事業計画(認定革新的データ産業活用計画)に基づいて行う設備投資について、税額控除3%(賃上げ※を伴う場合は5%)または特別償却30%を措置

対象設備

ソフトウエア、器具備品、機械装置

計画認定の要件

①データ連携・利活用の内容

これまで取得したことのないデータ(センサーデータ等)と社内の既存データを連携する企業内でのIоT等の活用や、外部ネットワークを活用して、物理的に離れた事業所や工場間の企業内のデータ連携、社外データを活用した取組等が対象となります。

②セキュリティ面

各法人においては、構築するデータ連携基盤において、登録セキスペ(情報処理安全確保支援士)等(※中小企業の場合には、ITコーディネーターでも可)の指示等に基づき、各種のセキュリティ対策が必要となります。

③生産性向上目標

以下の算式に基づく生産性向上の見込みを算出し、要件をクリアする必要があります。

<労働生産性について>

対象となる設備を取得等した年度の翌年度から3年間の伸び率の年平均が2%以上となること。

算式:(営業利益+人件費+減価償却費)÷労働投入量

<投資利益率>

対象となる設備を取得等した年度の翌年度から3年間の年平均が15%以上となること

算式:(営業利益+減価償却費)の増加額÷設備投資額

適用期日

生産性向上特別措置法の施行日から平成33年3月31日までの間の設備投資

2.課税の特例の内容

認定された事業計画に基づいて行う設備投資について、以下の措置が講じられます。

対象設備

特別償却

税額控除

ソフトウエア・器具備品・機械装置

30%

3%(法人税額の15%を限度)

5%※(法人税額の20%を限度)

※計画の認定に加え、継続雇用者給与等支給額の対前年度増加率≧3%

※対象設備の例:データ収集機器(センサー等)、データ分析自動化するロボット・工作機械、データ連携・分析に必要なシステム(サーバ、AI、ソフトウエア等)、サイバーセキュリティ対策製品等があります。

「税理士懇話会(税務研究会)の一口解説より転載」