国税庁は7月19日,「義援金に関する税務上の取扱いFAQ」を公表しました。大阪府北部地震や滋賀県で発生した竜巻,西日本豪雨等の被災地に対し,全国の団体等から義援金の呼びかけが行われている中,義援金を支払った場合の取扱いや,確定申告の際の証明書の添付方法等について,照会の多い14問が公表されました。

1.国等に対する寄附金は全額損金算入

法人が支出する義援金の取扱いについては下表の通りです。被災自治体の災害対策本部や,日本赤十字社等の専用口座に対して支払う義援金は,その全額が損金に算入されます。日本赤十字社等の事業資金として使用されるなど,最終的に地方公共団体に拠出されない場合や,認定NPO法人等に対する義援金は「特定公益増進法人に対する寄附金」に該当し,特別損金算入限度額の範囲内で損金の額に算入されます( 法法37 ③④,Q1~3)。

災害見舞金は全額損金算入

 法人が被災した取引先に対して,被災前の取引関係の維持・回復を目的として,通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間において支出する災害見舞金は交際費等に該当せず,その全額が損金の額に算入されることとなります(措通61の4(1)-10の3,Q5)。

 また,法人が多数の被災者を救援する目的で緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は,広告宣伝費に準ずるものとして損金の額に算入されます( 法基通9-4-6の4 ,措通61の4(1)-10の4,Q6)。

個人の義援金は「ふるさと納税」に該当

 個人が被災自治体の災害対策本部や,日本赤十字社の専用口座等に対して義援金を支払った場合は「特定寄附金」に該当し,寄附金控除の対象となります( 所法78 ①②)。なお,当該義援金は地方公共団体に対する寄附金として「ふるさと納税」に該当するため,個人住民税の寄附金税額控除の対象となります(Q1,2)。

 

 

法人が支出する場合の主な義援金支払先と課税関係

支払先

災害対策
本部  

日本赤十字社,社会福祉法人中央共同募金会(専用口座)

日本赤十字社,社会福祉法人中央共同募金会(専用口座以外)

認定NPO法人

公益社団法人公益財団法人

NPO法人,職場の有志等人格のない社団等

取扱い

国等に対する寄附金

国等に対する寄附金

特定公益増進法人に対する寄附金

特定公益増進法人に対する寄附金

特定公益増進法人に対する寄附金

一般の寄附金

損金
算入額

全額

全額

特別損金算入限度額の範囲内

特別損金算入限度額の範囲内

特別損金算入限度額の範囲内

損金算入限度額の範囲内

証明書

・被災自治体の災害対策本部が発行する受領証
・振込票控え等+募金趣意書や募金団体のHPの写しなど振込先の専用口座等がわかる資料

・専用口座のない募金団体等が発行する預り証