2018年も残りわずかになり、年末年始の準備で忙しい日々を過ごされている方も多いかと思います。年明けから確定申告が始まり、準備を本格的に考えていかないといけない時期になりました。所得税を計算するために確定申告がありますが、退職した人や年金受給者など確定申告をしないといけないのか分からないというケースもあるでしょう。今回は確定申告が必要なケースと、不要になるケースはどういったケースがあるのかをご紹介します。

1. 確定申告が必要とされるケース

①個人事業主

  事業による収入から事業にかかった経費等を控除した金額が事業所得となり、その金額から所得控除額を差し引いた課税所得がある場合は確定申告の必要があります。

②一定額以上の公的年金を受け取っている場合

  公的年金の収入額から年金の基礎控除額や生命保険料や扶養控除などの所得控除を差し引いたのちに所得金額がある場合は確定申告の必要があります。また、公的年金等の年間の収入金額が400万円を超える場合は確定申告が必要となります。

③不動産の賃貸料を得ている場合や不動産の売買等を行った場合

  不動産の賃貸を行っていて不動産所得を得ている場合や、土地や家など不動産の譲渡があった場合も確定申告が必要になります。

④株取引等で譲渡所得が発生した場合

  株取引等の譲渡利益を得た場合は譲渡所得となり、所得控除を差し引いた後に所得金額がある場合は、確定申告を行わなければなりません。ただし、源泉徴収が自動的に行われる源泉   徴収有の口座で取引があった場合や、NISA口座で発生した利益が年間120万円の非課税枠の範囲内であれば申告は不要です。

2.給与所得者で確定申告が必要なケース

  一般的に給与所得者は会社で年末調整を行うため確定申告は不要ですが、以下のケースは確定申告が必要になります。

 

①   給与所得が2,000万円超の場合

  年間の給与が2,000万円を超えると年末調整の対象者とならず、確定申告が必要となります。

②   給与以外に20万円を超える所得がある場合

  年末調整を受けている会社以外の副業で年間20万円を超える所得がある場合は確定申告が必要となります。

③   2か所以上から給与を受けていて、メインではない方の給与所得が20万円を超える場合

  2か所以上の会社で給与を受けており、年末調整が行われない方の給与が20万円を超える場合は確定申告が必要になります。 

3.確定申告が不要なケース

  確定申告をしないケースとしては以下のケースが考えられます。

①   会社から年末調整を受けている場合

  会社員の場合、基本的には会社が年末調整を行っています。1箇所の給与所得以外に所得がない方であれば、年末調整で所得の申告が完了するため、確定申告を行う必要はありません。

②   メイン以外の給与所得が20万円未満の場合

  ダブルワークの方で複数の会社から給与所得を得ている場合でも、メイン以外の給与所得が合計して年間20万円を超えなければ確定申告は不要です。

③   公的年金400万円以下で源泉徴収をうけている場合

  公的年金から源泉徴収がなされており、年金収入が400万円以下であり、かつ他の所得が20万円を超えなければ確定申告の必要はありません。

4.確定申告不要でも確定申告をした方が良いケース

  一般的に確定申告をした方が良いケースとは給与から控除されている源泉所得税が余分に控除されている場合であり、確定申告で正しく所得の申告を行った結果、余分に控除されていた源泉所得税が還付されるケースがあります。確定申告を行った方が良いケースとしては以下のケースが考えられます。

①   給与所得者でも確定申告をした方が良い場合

  実際に払った額から保険金を引いた医療費が10万円以上の場合(所得金額が200万円未満の場合は所得×5%以上の場合)や盗難等により資産に損害があった場合などは確定申告をすることで還付を受けられるケースがあります。

②   年の途中で退職した場合

  年の途中で退職し、年度末に就職していない場合は、年末調整が行われていないことになります。生命保険料控除や自分で国民年金や国民健康保険料などを支払っている場合は還付が受けられるケースがあるので確定申告をした方が良いでしょう。

③   住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合

  住宅ローンを組んで、居住用のマイホームを購入した場合に、所定の条件を満たした場合に購入をした翌年に確定申告を行うことで、所得税が還付されるケースがあります。この住宅ローン控除を受けるためには、初年度は確定申告を行う必要があります。(確定申告を行った翌年以降は年末調整で控除を受けることが可能です。)

④   アルバイト先などで源泉徴収されている場合

  主たる勤務先でないアルバイト先や副業先で源泉徴収が行われている場合、申告すれば所得税が還付されるケースがあります。

5.まとめ

  確定申告が必要かどうかはその年の所得金額や納税義務者の状況によって毎年変わります。たとえ確定申告が不要だった場合でも、確定申告をすることで税金の還付が受けられる場合もありますので、一度確認してみることをおすすめします。 もしご自身が確定申告が必要かどうか分からない場合は、アルファ税理士法人の担当者に確認をお願いします。