所得税や住民税の改正に伴い、令和2年分からサラリーマンが提出する扶養控除等申告書(以下、マル扶)が変わります。どう変わるのか、確認しましょう。

 

①所得金額要件が改正されています

平成30年度税制改正により、合計所得金額が2,400万円までの場合の所得税の基礎控除額が10万円引上げられました。この改正に伴い、各種所得控除等を適用するための所得金額要件の上限も10万円引上げられています。

vol.301令和2年分の扶養控除等申告書の注意点の図①

(注)A 源泉控除対象配偶者とは、合計所得金額が900万円以下の給与所得者と生計を一にする配偶者を指します。ただし、青色・白色専従者は該当しません。

vol.301令和2年分の扶養控除等申告書の注意点の図②

所得金額要件の上限が 10万円引上げられたものの、所得金額を計算する上での収入が、年収850万円までの給与等のみ又は年収9,999,999円までの公的年金等のみの場合は、実質これまでと変わりません。いずれかに該当する場合の所得金額を計算する上での控除額が、改正により原則として10万円引下げられたからです。

給与所得控除、雑所得となる公的年金の課税関係は、国税庁のホームページで詳しく確認できます。
No.1410 給与所得控除
No.1600 公的年金等の課税関係

 

②令和2年分のマル扶では、住民税に関する事項に「単身児童扶養者」欄が新設されました

端的に言えば、
(1)児童扶養手当を受給しているひとり親
(2)現に婚姻をしていない場合または配偶者の生死の明らかでない場合
(3)対象児童の総所得金額の合計が48万円以下
すべてに当てはまる場合に該当します。
(注)『単身児童扶養者』は、寡婦(寡夫)控除の要件と異なり、婚姻の届出の有無だけでなく、内縁関係がある場合も支給対象から外されますので注意が必要です。

扶養控除等申告書は、非常にセンシティブな内容が含まれていますから、詳しい内容を確認しづらいかと思います。ただし、こういった場合には、この欄にチェックを付してください、というアナウンスをしておく必要はあるでしょう。

日本年金機構のホームページで「単身児童扶養者」に該当する要件が確認できます。