国税庁の報道発表によれば、平成26年分の相続税の申告書の提出に係る被相続人数は56,239人、相続人数は133,310人、相続税額は13,908億円でした。平成30年分においては、相続税の申告書の提出に係る被相続人数は116,341人、相続人数は258,498人、相続税額は21,087億円となっており、申告者数及び税額とも増加しています。そこで、相続税額の加算について確認してみましょう。

相続税額の加算について

相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます(相続税法第18条)。

この2割加算の制度は、相続等により財産を取得した人が被相続人と血族関係の遠い場合や血族関係にない場合には、財産の取得については偶然性が強く、また、被相続人が子を越して孫に遺贈することにより相続税の課税を1回免れることとなるために設けられたと言われています。具体的に、どのような人が2割加算の対象になるのか確認してみましょう

1.兄弟姉妹・・・・・・・・・・・・・・2割加算(2親等の血族であるため)
2.孫・・・・・・・・・・・・・・・・・2割加算(2親等の血族であるため)
3.孫養子・・・・・・・・・・・・・・・2割加算(相続税法基本通達18‐3ただし書き)
4.祖父母・・・・・・・・・・・・・・・2割加算(2親等の血族であるため)
5.甥、姪・・・・・・・・・・・・・・・2割加算(3親等の血族であるため)
6.相続放棄をした代襲相続人である孫・・2割加算(相続放棄をしているため、代襲して相続人に
なった直系卑属にあたらない)
7.相続人でない受遺者・・・・・・・・・2割加算
8.特別縁故者・・・・・・・・・・・・・2割加算

次に、どのような人が2割加算の対象外になるのか確認してみましょう

1.子・・・・・・・・・・・・・・・・1親等の血族
2.養子・・・・・・・・・・・・・・・1親等の血族
3.父母・・・・・・・・・・・・・・・1親等の血族
4.配偶者・・・・・・・・・・・・・・配偶者
5.代襲相続人となった孫・・・・・・・相続税法第18条第1項かっこ書き
6.代襲相続人となった孫養子・・・・・相続税法第18条第1項かっこ書き
7.相続放棄をした一親等の血族・・・・相続税法基本通達18-1

相続税法

第18条 相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続又は遺贈に係る被相続人の一親等の血族(当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失ったため、代襲して相続人となった当該被相続人の直系卑属を含む。)及び配偶者以外の者である場合においては、その者に係る相続税額は、前条の規定にかかわらず、同条の規定により算出した金額にその百分の二十に相当する金額を加算した金額とする。

2 前項の一親等の血族には、同項の被相続人の直系卑属が当該被相続人の養子となっている場合を含まないものとする。ただし、当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失ったため、代襲して相続人となっている場合は、この限りでない。

「税理士懇話会(税務研究会)の一口解説より転載」