昨年12月に令和3年度税制改正大綱が公表されました。ウィズコロナ・ポストコロナに向けた改正も多く見受けられますが、その主な内容は次の通りです。

1.法人税

(1) デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の創設(所得税も同様)

デジタル技術を活用した企業変革(DX)実施のため、一定の設備を取得した場合には、特別償却(30%)又は税額控除(3%又は5%)が認められます。

項目

内容

対象法人

青色申告法人で産業競争力強化法の事業適応計画(仮称)について同法の認定を受けたもの

対象設備

事業適応計画に従って実施される事業適応(仮称)の用に供するためのソフトウエア、繰延資産、器具備品、機械装置(DXの実現に必要なクラウド技術を活用したデジタル関連投資)

取得等時期

産業競争力強化法の改正施行日から令和5年3月31日までの間に取得等したもの

(2) 研究開発税制の見直し(所得税も同様)

① 税額控除率の上限引上げ(一般型(旧総額型)14%、中小企業向け17%)措置及び控除上限の上乗せ措置の適用期限が2年延長されます。

② コロナ禍でも積極的に研究開発投資を行う企業を後押しするため、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する事業年度のうち、コロナ前と比較して売上が2%以上減少しているにも関わらず、試験研究費を増加させた場合に一般型及び中小企業向けの控除上限が5%引き上げられます。

③ その他試験研究費の範囲の見直し等が行われます。

(3) 賃上げ・投資促進税制の見直し(所得税も同様)

特に大企業向け制度につき、ウィズコロナ・ポストコロナを見据えた企業の経営改革の実現のため、新卒・中途採用による人材確保等への投資促進を図る目的で適用要件、控除額等の見直しが行われた上で、適用期限が2年延長されます。

(4) 繰越欠損金の控除上限の特例の創設

コロナ禍において生じた青色欠損金につき、大企業等における繰越欠損金の控除上限(現行50%)が最長5年間(基準事業年度開始の日以後5年以内開始事業年度等)、最大100%まで引き上げられます。

vol.331に挿入する繰越欠損金の控除上限の特性の創設の図

2.電子帳簿保存制度

経理電子化による生産性向上、テレワーク推進、記帳水準向上等の観点から、電子帳簿保存制度につき事前承認制度の廃止、電子保存のための要件緩和等の見直しが行われます。

 

「税理士懇話会(税務研究会)の一口解説より転載」