近年の税制改正において、(1)法人に係る消費税確定申告期限の延長の特例の創設、(2)課税売上割合に準ずる割合の適用開始時期の見直しが行われました。いずれも適用する場合には、届出書等の提出が必要ですので、手続き、提出期限等にご注意ください。

(1)法人に係る消費税確定申告期限の延長の特例の創設

法人に係る消費税の確定申告期限は原則として各課税期間終了後2ヶ月以内ですが、各事業年度終了の日の属する課税期間に係る確定申告については、令和3年3月決算法人よりその申告期限を1ヶ月延長することが可能になりました。

法人税及び消費税の確定申告期限は原則として事業年度終了後2ヶ月以内ですが、一定の場合には法人税の確定申告期限は1ヶ月延長することが可能です。法人税の申告期限延長の期間に消費税に影響のある売上や費用の計上漏れ等が発覚した場合には、法人税は1度の確定申告で済むものの、消費税はあらためて修正申告や更正の請求を行うことになります。また、法人税の確定申告期限が延長されていることから、消費税の確定申告期限も延長されているとの誤認識により期限後申告となった結果、無申告加算税が課されるケース(一定の場合には免除あり)も見受けられ、法人税と消費税の申告期限にズレがあったことによる実務上の負担、弊害が生じていました。

改正後は法人税と消費税の申告期限を同じにすることが可能ですが、消費税の確定申告期限延長のためには、申告期限を延長しようとする事業年度終了の日の属する課税期間の末日(例えば令和3年6月期の申告期限を延長する場合には、令和3年6月30日)までに「消費税申告期限延長届出書」を  納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。

また、消費税の確定申告期限の延長は法人税の確定申告期限の延長の特例の適用を受ける法人にのみ認められており、消費税の申告期限だけを延長することは認められません。法人税の申告期限を延長していない法人は定款等の確認や延長の必要性を検討し、延長する場合には法人税についても申告期限延長の手続が必要になります。

なお、法人税と同様に、本税の納付が延長期間に行われた場合には、当該期間に係る利子税の納付をしなければなりません。

(2)課税売上割合に準ずる割合の適用開始時期の見直し

仕入税額控除において個別対応方式を適用する場合、課税仕入を課税売上対応、非課税売上対応、共通対応の3つに区分して控除対象仕入税額を計算します。このうち共通対応の課税仕入に係る消費税については、課税売上割合を乗じて控除対象仕入税額を計算しますが、一定の場合には課税売上割合に代えて課税売上割合に準ずる割合を適用することも可能です。

課税売上割合に準ずる割合を適用するためには、「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し、適用しようとする課税期間の末日までに税務署長の承認を受ける必要があります。承認審査には一定期間を要することから、課税期間の末日間際に承認申請書が提出された場合には課税期間末日までに承認が間に合わず、適用を予定していた課税期間に適用できないケースも生じていたところです。

改正後(令和3年4月1日以後に終了する課税期間から)は、「適用しようとする課税期間の末日

の翌日以後1ヶ月を経過する日まで」に税務署長の承認を受けた場合も、その課税期間の末日において承認があったものとみなされるため、課税期間末日間際に提出した場合でも課税売上割合に準ずる割合を適用することが可能となります。

なお、承認申請書は「適用しようとする課税期間の末日まで」に提出する必要がありますので、 提出期限にはご注意ください。

「税理士懇話会(税務研究会)の一口解説より転載」