令和3年12月10日付けの自由民主党・公明党による令和3年度税制改正大綱について、令和3年12月24日に閣議決定されましたので、令和4年度税制改正大綱における相続税関係について、確認してみたいと思います。

相続税・贈与税のあり方

令和3年度税制改正における相続税・贈与税のあり方と同様となっていますが、「あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らかの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。」と贈与税の非課税措置の見直しが追加されています。

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の見直し・延長

①     直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、令和5年12月31日まで2年延長する。

②     非課税限度額は、住宅用家屋の取得等に係る契約の締結時期にかかわらず、住宅取得等資金の贈与を受けて新築した 次に掲げる住宅用家屋の区分に応じ、それぞれ次に定める金額とする。

・耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋 1,000万円

・上記以外の住宅用家屋 500万円

改正前

改正後

適用期間

令和2年4月1日から令和3年12月31日までの契約締結日

令和4年1月1日から令和5年12月31日まで

(締結時期にかかわらず)

耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋

消費税率10%

1,500万円

1,000万円

上記以外

1,000万円

上記以外の住宅用家屋

消費税率10%

1,000万円

500万円

上記以外

500万円

③    適用対象となる既存住宅用家屋の要件について、築年数要件を廃止するとともに、新耐震基準に適合している住宅用家屋(登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなす。)であることを加える。

④    受贈者の年齢要件を18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる。

適用時期

①~③は、令和4年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用。
④については、令和4年4月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用。

非上場株式等に係る納税猶予の特例制度について、特例承継計画の提出期限を延長

非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度について、特例承継計画の提出期限を令和6年3月31日まで1年延長する。

「税理士懇話会(税務研究会)の一口解説より転載」